書評

【書評】元証券マン 日本の保育を変える!ウチの子供も保育園児なので考えさせられた。

元証券マン 日本の保育を変える!待機児童、保育士不足、延長保育…これでいいのか!? のまとめ的書評

世間では少子化、少子化と騒がれていますが、自分自身に子供が出来、共働きでいざ保育園に入園させようとすると、いきなりつまづきました。

何と定員に達しているので入れないと言うのです。

しかも空きを待っている人も多数いるのでそうそう空きもないでしょうと市の担当者に言われてしまいました。

同世代の人に聞いて見ると他の市でも同様のようで、どうやら日本全体の問題のようなんです。

何という事でしょう。少子化、少子化と騒いでいるわりには待機児童問題と言うカタチで保育園が慢性的に不足しているんです。

そんな時に手に取ったのが「元証券マン 日本の保育を変える!」です。

ちょうど悩んでいた時期だけに刺激的なタイトルですね。

事業をスタートすると、保育士が次々と辞めていく

それでは見て行きましょう。

保育事業をスタートさせると、問題が山積みで一番の問題は保育士の離職率の高さだったそうです。

どんどん現場の人が辞めだすって事は、問題がかなりある職場なんだと感じます。

本書の中でも述べてますが、原因のひとつは著者である「私」だったとのことです。
しかも「会社は、保育を儲けるためにやっている」と散々な言われようだったようです。

現場とのすれ違いの原因

保育に対する基本的な考え方の違いが原因であると述べています。

著者は「保育サービスの利用者=保護者」と考え、ニーズにこたえる為、保護者にとって何が一番大事か考えよう。
と言うところから考えをスタートさせていた。

その理由として、保護者が必要としているのに、一時保育も延長保育もなく、日曜祝日も開かないなど、利用者のニーズにこたえていない事に憤りを感じていた。

対して現場の保育士達は、延長保育の問題に対しても「親はいいけれど、子供たちはどうなるのか」とジレンマを抱えていた。

原因の対策のために著者が取った行動

現場の人が学んで来た知識を身につけようと保育士の通信講座を受講、
そこで保育の奥深さに取りつかれ、大学院に入学までしている。

大学院で学ぶうちに子供目線がいちばん大切であることに気づき、
保育においていちばん考えるべきことは「保育が子供の発達をどう支えるのか。子供の安全をどうとらえるのか」に気づくことが出来た。

その上で保護者に対してどのようなサービスが提供できるのかを追及していく。

ただし、その時に子供の利益と保護者の利益を対立させてはいけない。と強く述べています。

保育士の採用面接で見えた来た保育園の実態

採用の為に行っていた保育士との面談にて、公立や社会福祉法人の保育園の実態がわかってきた。

つまり、子供や保護者のためではなく、自分たちが運営しやすいようにやっているとしか思えない。

例えば、延長保育や休日保育を行わない理由を、子供の為にならない。となっているが、現実は5時までしか預かってくれないので困った保護者がベビーシッターに預けたり、無認可の劣悪な施設に預けざるを得ない状況になっている。

その実態も面談で知りえたことだが、なんと保育士の多くはその実態を知っている。

子供がかわいそうと言うのは、建前で本心では残業がするのがいやなだけと言うことがわかってしまった。

なぜ建前が通じてしまうのか

「建前だらけの業界を変えよう!」と決心して、なぜこういった事態を招いたのか?と考えると、「競争がまったくない業界」だからだと結論づけている。

バッサリ感があってわかりやすい。

ただし、2000年の児童福祉法改正にともない、民間業者が参入出来るようになったことにより流れが変わってきている。

株式会社が参入すると

公立の保育園や社会福祉法人に比べると、株式会社の場合は「利益優先じゃなのか?」と言う事で信頼度が下がっているのは事実。

ここがポイントなんですが、働き方や働く時間帯も多種多様になってきている現在では、従来のシステムでは対応出来ていない。

そうなんです。
今すぐ保育が必要な保護者には、今すぐ場所が必要なんです。

従来の保育士が言っているような「延長保育は子供がかわいそう」と言っているだけでは何の解決にもならない。

そこで著者は、現場に投げかけます。

プロの保育士なんだから、かわいそうにならない創意工夫を!延長保育しても疲れない工夫を!と投げかけ、保育士は研究会を作り改善を行った。

結果的に夕方からはゆっくりした時間を設ける事や折り紙などの時間にして「子供の心や体の状態に合わせた保育」を行う事が出来るようになった。

カワニシケイイチ的まとめ

保育園は実際に子供を預けてみると、問題が山積みで大変です。

延長保育も問題のひとつで、決まった時間までしか預かってくれず、定時ダッシュでギリギリと言う事がほとんどです。

そんな中で、この著者の保育園では出来ない理由はいっぱいあるかも知れないが、出来る事は前向きにやって行こうと果敢にチャレンジされています。

最近のNewsでもベビーシッターに預けた子供が亡くなってしまうと言う事件も起こっています。

ほんとに保育園の問題は待ったなしで、現実にそくした保育園の運営を行なってほしいと真剣に思いますね。

色々と考えさせられて、いい本でした。